フィリピンの語学学校と留学最新情報 マニラ在住・神戸美穂
フィリピンと言えばかつての危険や貧困というイメージから、最近では東南アジアでの英語留学の象徴的な存在となっている。
イギリスやアメリカへの語学留学に比べて、圧倒的に費用が安いことから、セブを筆頭に語学学校が乱立している。
フィリピンは、長いアメリカの統治国家の歴史の影響や島々で話される意思疎通も出来ない言語を統一するために英語を公用語と制定した。
英語教育が義務化されてから、フィリピン人にとっても第二言語であった英語を学習してきたフィリピン人は、英語を学ぶ側の気持ちを理解しながら、効果的な勉強法と上達法を根気よく教えてくれると、特に日本人には大評判である。
今回は、最新の語学学校情報を報告する。
1.留学グランドライン、レアジョブと提携
フィリピンで語学留学事業を運営するグランドライン・フィリピンは6日、オンライン英会話教室を運営するレアジョブ(東京都渋谷区)と資本業務提携を結んだ。レアジョブが語学留学プログラムの販売窓口となり、グランドラインが留学先となる現地の教室運営を担当する。英語を実践で使いたいという社会人や学生のニーズを取り込む。
レアジョブがグランドライン・フィリピンの第三者割当増資を引き受ける形で、発行済み株式の2割を取得する。グランドラインは調達した資金を、教室の拡大などに充てる。
親会社で教育・コンサルティング事業を手掛けるグランドライン(東京都中央区)の金光淳規(かねみつ・じゅんき)代表取締役は、「50万人以上の会員を抱え、オンラインだけでなく海外留学など実践の機会を提供したいレアジョブと、現地に語学学校と法人研修ノウハウを持つグランドライン、互いの強みを生かしたサービスを提供したい」と述べた。
レアジョブは法人向けサービスを強化しており、2016年時点で1, 000社以上の法人顧客にサービスを提供している。新しい留学プログラムは、5月以降に販売を開始する予定。
グランドラインはマニラ首都圏マカティ市で語学学校を運営している。講師数は45人で、常時20人前後の生徒を受け入れ、1日6時間の授業を実施している。留学期間は1~24週間。同社の売上高の8割を占める留学事業は今後、原則全てレアジョブブランドで売り出していく。また、日本からの留学生の受け入れだけでなく、オンラインレッスンと連携したサービスやマニラ近郊の海外赴任者向けの通学サービスの強化も進める。
グランドラインは2011年に海外英語留学事業に参入し、現地子会社グランドライン・フィリピンを立ち上げた。ビジネス英会話の習得を目指す社会人をメインターゲットに、個人個人に合わせたカリキュラムを提供してきた。現地企業や大学と連携した実践的なプログラムで、競合との差別化を図っている。(2017年4月7日NNNニュースより)
2.商工中金、桐原書店のセブ英語学校事業へ協調融資
日本人のセブ語学留学3.5万人、20年には10万人超予想
2017年1月検定教科書や学習参考書の出版を手がける桐原書店(本社:東京都新宿区)は、フィリピン・セブ島にある語学学校FEA(Firstwellness English Academy)との資本業務提携を決定した。
桐原書店が長年培ってきた英語教材つくりのノウハウと、FEAの外国人講師による質の高い個人英会話レッスンを組み合わせることで、日本人に最適化した語学留学プログラムや、今後学校市場で需要の拡大が見込まれる四技能対応英語教育コンテンツ、「話す」「書く」を含む新大学入試や外部英語資格試験の対策講座などの提供を目指す。
FEAは2011年にフィリピンセブ島で開校した日本人が経営する語学学校で、「安全、安心、ハイクオリティ」をモットーに、経験豊富な有資格者講師による質の高いレッスンと、宿泊と教室が同じホテル内という利便性と安全性が高い評価を得て、現在700人を越す日本人が留学している。現在の資本は300万ペソ、従業員は40名強となっている。
英語学習コンテンツの作成に精通した桐原書店と、個人レッスンのノウハウと経験を持つFEAが提携することで、日本人及び日本の英語教育界の喫緊の課題である、「話せる英語」「使える英語」の習得に向けて、大きな貢献ができると考えられる。
このほど、商工組合中央金庫東京支店は、民間金融機関と協調して、上記の桐原書店等によるセブの語学学校運営事業に必要な資金を融資した。商工中金は、セブ語学学校事業が桐原書店の競争力向上につながり、海外市場の開拓に寄与することを高く評価し、地域金融機関との協調融資を実施した。
なお、セブ島には昨年35,000名を超える日本人が語学留学に訪れたが、2020年には10万人を超えると予想されている。手頃な価格と地理的な近さ、そして比較的安全な学習環境により、高等学校でも短期留学先にセブ島の語学学校を選ぶところが増えてきた。また、小学校で英語科目が導入されることを見越して、親子で語学留学に参加する学習者も増加傾向にある。
(2017年2月23日商工中金ニュース等より)