モンゴルでは肝臓病の患者が30%近く、とりわけC型肝炎患者が国民の17%を占める重大な事態となっている。原因は日本と同じで注射針の使い回しですが、それは60年代半ばで終わっている。しかし約20年の潜伏期間を経て、80年代半ばから徐々に発病者が増加し今日に至っている。これをどのように克服するかが重要な課題となっている。これについて、日本として、②に記すような国際支援を行うべきと考えている。
日本でもそうであるが、医療現場では、注射の後に針が医療従事者を傷つけ感染するケースが多々ある。とりわけモンゴルではC型ならびにB型患者が多いため、医療従事者に肝炎が感染する危険が高く、その克服が緊急の課題となっている。
そこで、さしあたって医療関係者への感染を防ぐために、今回、注射針処分器20台(300万円相当)を在任モンゴル大使館を経由してモンゴル政府衛生省に贈呈した。
この器械は沖電気が開発し、現在系列のソフィテックジャパン株式会社が扱っている。鈴木元が知人の松本賢爾氏を通じて無償で国際環境整備機構(理事長 鈴木)に20台寄付してもらい、国際環境整備機構としてモンゴル政府に寄贈したのである。
10月4日、午後、衛生省の大臣以下5名の幹部の出席の下、日本側からは、鈴木、松本以外に在モンゴル日本大使館から一等書記官の向井晋一氏(大使は離任と赴任のは端境期で不在)とJICAのモンゴル所長の磯貝秀典氏が同席され、テレビ、新聞をはじめとする現地のマスコミが多数参加された下で、贈呈式が行われた(マスコミ報道についての一例を添付したので参照)。
モンゴル日本大使館での贈呈式
大臣からは感謝が述べるれるとともに、引き続き日本からの医療支援の要請がなされた。
なお大臣から鈴木と松本に対してモンゴルの医療福祉の発展にたいする貢献者として勲章が授与された(勲章と授与証明書は添付写真参照)。
国民の17%がC型肝炎という驚くべき事態であるが、モンゴルの医療水準は極めて低く、日本などの先進国が到達している医療技術の普及が不可欠である。そこで日本のODAの無償支援事業として、日本から専門医師を派遣して現地で研修を行う事が決定的に重要である。その際、座学的研修だけではなく、実際に検診し、治療方針を立て、必要な手術等を行う事が不可欠である。ところが、モンゴルで最も先進的な検査と治療に当たろうとしているアマラ医師(東大医学部で博士号を取得し、ハーバードのメディカルスクールで肝臓病治療の専門研修を受けた医師で、モンゴル肝臓学会の会長)の診療所でさえ、CTはおろか、簡単なエコーはあるが癌の進行を判断できるエコー、またレントゲンも所持していない。したがって日本から医師などの研修に行くにしても、いくつかの高度医療機器を贈呈しなければ効果的な研修は実施できない。そこで日本から専門医師集団を年間二回程度派遣し、モンゴル医科大学やモンゴル癌センターにおいて研修を行うとともに、研修に必要な医療機器を贈呈する。また年二回程度、日本の医療機関に複数の医師を迎え入れ、日本の医療現場での研修が実施できるODAによる支援を緊急に行う必要がある。
勲章と授与証明書