ワールド・レポート その7

国家が崩れる時

3月10日、韓国の朴大統領が憲法裁判所で弾劾が決定され罷免された。多分、今後、検察によって起訴され有罪となるであろう。罪は知人の支持者であるチェ・スシルに国家機密を渡していたことやチェ氏の利益のために動き、サムソンかからの収賄を受けていたと言う実につまらない癒着事件である。

ここまで朴大統領を追いつめたのは、延べ1500万人にも及ぶ国民の追及行動であり、「民主主義の勝利」ともいえる。しかしその面だけで見ていていいのだろうか
今後、60日以内に行われる大統領選挙で野党「共に民主党」の党首で反日・反米で北朝鮮寄りの文氏が有力視されている。

現在、韓国は国家の在り方が問われることに直面している。北朝鮮による核開発とミサイル強化、それに対してアメリカの迎撃ミサイルの配置を進めようとすると「中国も射程に入り許されない」と、中国へ進出しているロッテなどの韓国系企業への厳しい攻撃、600万人に及ぶ韓国への観光制限などが打ち出されている。
韓国はGDPにおける輸出貿易依存度が50%ほどもある国であり、その半分が中国である。そこを中国につかれている。なお中国の依存度は25%程度、貿易立国と言われている日本は10%強である。その輸出はサムソンをはじめとする5大財閥によって大半が占められているが、サムソンだけで韓国貿易の20%以上を占めている。そのサムソンの輸出の半分がスマホであるが、安い人件費で中国企業にとって代わられようとしていて抜本的対策が求められていた。なおサムソンなどの有力企業の製品の中核部品の大半は日本の物であり、技術力高い中小企業が育っていない。そういう時に実質的な責任者である三代目副社長が朴大統領への収賄容疑で逮捕されている。文氏の大統領就任で、これらの問題を解決し新たな発展を遂げるとは思われない。北朝鮮そして中国に引き回されて、一層、混乱を深める危険性がある。

政治・経済共に国家の存在が問われている時、朴大統領とチェ・スシルの低次元の癒着事件で半年以上国政は機能マヒに陥ってきた。国が崩れる時と言うのは、こういう風なことで崩れていくのだろう。
翻って日本はどうだろう、安倍首相夫人もかかわった森本学園問題は許されないことであるが、つまらないことでもある。文教委員会に特別委員会を設置して調査・議論すればよいことである。こんなことを予算委員会で延々と議論しなければならないことだろうか。日本国として、それこそ国家のありようが問われる大激変に見舞われている。トランプのアメリカ、プーチンのロシア、習の中国、日本はこれらの大国に誕生し強引な対外政策を進めている独裁型政権とどのように向き合うのかが問われている。それに小国とはいえ、北朝鮮による核とミサイルの挑発。これらへの対応を誤れば日本国が存亡の危機に陥ることである。第二次世界大戦後、最大規模で国家のあり方が問われている。左右を問わず日本国家の在り方を巡って真剣な模索、議論、行動が求められていると思うが、どうだろうか。